住宅(不動産)購入という人生の中でもそうそうないレベルの買い物をするとき、まず上がる選択が「一軒家」か「マンション」かという2択です。
そこから新築だの中古だのと色々細かな選択を重ねていくことになります。
そして住宅購入において何を検討するにしても必要になるのが「お金」ですね。
今回は一軒家・マンションのいずれかに決める要素の一つとして、お金に着目した検討内容を紹介していきます。
同じ金額の一軒家とマンションを比較
計算の前提条件
これから計算をしていきますが、話がややこしくならないように色々ムシして計算しています。
住宅ローン減税、控除、固定資産税などがその最たるものです。
ですが、これらは一軒家でもマンションでも共通して掛かってくるもので、大きな差は生まれないはずです。
新築と中古で考えると差は出てくるのですが、それも一軒家とマンションの両方にあるので、条件はそろえられますからやはり考慮からは外します。
例えば探している地域に「中古の一軒家」「新築のマンション」しか不動産が存在しないこともあります。
条件を一軒家とマンションで確実にそろえられるとも限らないのです。
ですが、ここでは条件をそろえていますので、計算はあくまでも”概算”によるものだと思ってください。
3000万円の物件でシミュレーション
仮に予算を3000万円だとしましょう。
3000万円の一軒家とマンションでは設備は同じようなものになる思います。 (厳密にはマンションの方が良いはずですが)
でも、月々の支払額は実は変わってくるのです。
マンションを購入した場合、『管理費・共益費』というのが掛かってきます。
車を持つ場合は『駐車場代』も乗ってきます。
※駐車場に関しては一軒家に無い可能性、そもそも車が無いので不要の可能性がありますが、ここでは計算に含めておきます
これらは実は3000万円というマンションの金額には含まれていません。
では、安く見積もって管理費・共益費が1.5万円、駐車場代も同じく1.5万円だとすると『合計3万円』が月々のローンに加えて乗っかってきます。
つまり同じ金額の不動産を購入したとしてもマンションの方が支払い額が高くなるのです。
ちなみに月々3万円高くなると総支払額がどれぐらい変わるのでしょうか?
ローンの支払期間を最長の35年間だとすると、
なんと総支払額の差1000万円越え!
年間36万円 × 35年 ⇒ 1260万円
どうでしょうか。
これだけの差が出るという事は3000万円のマンションを購入した場合、総支払額で考えると一軒家の場合1000万円上乗せした4000万円の不動産物件を購入することが出来ます。
しかも!
管理費・共益費というのはローンの支払いが終わっても払い続ける必要があります。
一軒家が35年間でローンをすべて支払い終えるとそこで終わりですが、この例のマンションでは3万円が住み続ける限り払わなければなりません。
災害などで全壊した場合の復旧費用
さて、噂に名高い『南海沖地震』などが本当に来た場合、一軒家でもマンションでも大打撃を受けるでしょう。
「新築マンションなら壊れない」
と、思われるかもしれません。
でも本当に新築マンションなら大丈夫なのでしょうか?
そうですね。
建物は大丈夫かもしれません。
でも、南海沖地震のような超災害級の震災だと『地盤ごともっていかれる』可能性がありますよね。
そうなると建物が無事でも、全壊してしまうこともあります。
もちろん一軒家でも同じく全壊するでしょう。
ですが、大地震ならすべてが壊れてしまうのでしょうか。
壊れない不動産もあることと思います。
建築技術的な問題もあるかもしれませんが、私は最終的に『運』ではないかと思います。
一軒家でもマンションでも全壊の可能性が十分にあるということです。
なので、全壊したときのことを想定してみましょう。
全壊したときに残るもの
地震などの災害保険で賄える範囲は、一軒家でもマンションでもそうは変わらないです。
不動産の購入額の全額が返ってくることはありません。
それに地震でなく津波で流れた場合など何やかんやで、もらえる保険金額を減らされてしまうかもしれません。
なので、最悪を想定し全壊したときの残債(ローンの残りの金額)は『物件の購入額相当』と考えておきましょう。
当然ですが全壊したからといって不動産のローンが無くなるなんてことはあり得ません。
私の知人にもいるのですが、購入した不動産が全壊してしまい、全壊後に購入した不動産と合わせて二重にローンを支払いっています。
政府が対応してくれるのは最初のローン(全壊した不動産の購入額)の支払いを少し待ってくれるという程度のものだけです。
購入した物件の支払いは必ずしなければならないと思っておきましょう。
『一軒家』のケース
一軒家を購入すると多くの場合、『土地の所有権』も含まれています。
※貸借権など土地は借りるパターンもありますが、ここでは無視します
そうです。
一軒家が全壊しても土地だけは残るのです。
「土地だけ残っても・・・」
と侮ってはいけません。
土地さえあれば不動産購入額の6割を支払えば再起可能です。
3000万円の一軒家を購入したとすると、大体『1200万円の土地 + 1800万円の家』という内訳になります。
つまり、土地だけでも残っていれば、新築で立て直したとしても、土地代は浮くので1500万円~1800万円ぐらいの上乗せで済みます。
もちろんかなり大きな痛手です。
それでも土地だけでも残っていれば全然違うものになるのです。
『マンション』のケース
マンションにも土地がついてきます。
ですが、考えてみて下さい。
マンションは何階建てにもなっています。
土地をマンションの住人で割った分が購入者の土地の取り分です。
一軒家と同じように考えて土地だけ残る理論の場合、かなり少なくなってしまいますね。
つまり全壊した場合、マンションだと購入額のほぼ全額が残ってしまいます。
さらにマンションの場合、建て直しするにしても他の住人とも合意をとる必要があるそうです。
例えば東側は無事で、西側の一部だけ壊れていたとします。
当然西側の人は大きく改修したい、場合によっては心配なので立て直したいとか思っても、東側の人が現状維持したいなど意見が割れてしまうと中々話が進まないこともあります。
いずれにしてもマンションが全壊してしまうと基本的には何も残らないものだと思っておきましょう。
そなると新しく不動産を購入することになりますが、土地も残っていないので、全く同じ金額を購入する必要が出てきてしまいます。
金額での比較まとめ
計算した通り、純粋に金額だけ見れば『一軒家が有利』と言えるのではないでしょうか。
マンションには『管理費・共益費』『駐車場』が上乗せされるので、総支払額が不動産の購入額からかなり高くなってしまう。
また、土地が(ほぼ)ないので、全壊したときになにも残らないというデメリットもあります。
一方、一軒家だと総支払額から大きく変わりませんし、土地がついてくるのでリスク分散にもなる。
ということは「一軒家の方がいい!」という結論に至ってしまいそうですが、マンションにもメリットがあります。
マンション最大のメリットは『駅近』にあります。
すべてのマンションが駅近だとは限りません。
でも、マンションの方が多くの場合、比較的駅に近い物件にすることができます。
それに管理費を支払っている分、コンシェルジュが付いていたり、自習室があったり、共同スペースでパーティできたり、ゲスト用の駐車場があったり、ごみ捨てがゴミ捨て場に行かずにキッチンの設備として付いていたりもします。
なので、購入額が同じだからといって、完全に同じ設備と考えるのはフェアではありません。
個人的には数百万円もの差があるとは思えないので、今回の計算では同じような設備としています。
実際、月に数万円を支払ってまでコンシェルジュや自習室を使うでしょうか。
それらを外して月額が下がるというのであれば、おそらくオプションを外す人も多いはずです。
これから不動産を購入される場合、不動産の価格だけで考えず、あくまでも『総支払額』で一軒家やマンションの購入を検討してください。
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