“高速バス運転手”の仕事はハードなのか?

「高速バス運転手」をしている旧友のYさん(以降 運転手Yさん)に話を聞いてきました。
高速バスの運転手ですので市バスのように一般道を走る観光バスとはまた違います。
昼にも高速バスは走っていますけれど代表的なのは夜行バスですね。
バス運転手は生活していく上で身近に感じられますが、実際にバス会社へ就職したという人は中々いないと思います。
最近は何かとニュースに取り上げられる高速バスですが、「運転手って本当にウワサ通りの激務なのか?」も含めて紹介していきます。
とりあえず、『バスが好き』『バス旅行に興味がある』という方は↓を見たら面白いかも?

目次
「バス運転手」と「バス運転士」の違い
バス運転手とバス運転士の「違い」とかミスリードしましたが、そもそもバス運転士という言い回しは存在しないみたいですね。
何となく「運転士」という方が専門家っぽい言い回しなんかなとか思っていたのですが、Wikiによると運転手と運転士では意味が全然違うみたいですね。
運転手とは:Wikipediaより抜粋
もっぱら、運転を職業とする人を言うことが多い。
乗用車以外の機械を運転する者を運転士と呼ぶ場合がある。
運転士とは :Wikipediaより抜粋
「運転者」とは異なります。
・電車、気動車の運転をつかさどる鉄道職員
・船舶の運転をつかさどる海員
・機械などを運転する職業操縦技能者のこと
という訳でバスの場合は「運転手」が正しいですね。
そもそも運転士の方には「運転手とは異なります」と記載されているので、似て非なるものと思っておかないとダメそうです。
車系だと運転手ですね。
なのでタクシーの場合もタクシー運転士とは言わず、タクシー運転手になりますね。
回答者(運転手Yさん)の情報
年齢
20代後半
性別
男性
学歴
文系大学卒業
職歴
転職はしていません。
ただ、大学卒業時にはバス運転手の免許を持っていなかったので、新卒で就職ができませんでした。
新卒時はバス運転手の免許取得を目指しながら、引っ越し屋のバイトに励んでいました。
そして無事にバス運転手の免許を取得できたので翌年度にはバス運転手に就いています。
就職理由
もともと乗り物が好きで”乗り物関係”の職業に就こうと考えていました。
電車やカーショップ、トラックドライバーなど迷ったようですが、バスを運転してみたいという気持ちとたくさん運転できるという理由でバス運転手を最終的には選びました。
“バス運転手”の現状
会社
所属しているのは某大手バス会社の子会社です。
高速道路を走る高速バス運転手をしています。
勤務内容
高速道路でバスを運転するのがメインです。
私たちが普段目にしているのは運転してくれている姿だけですが、運転だけではなく裏でしている仕事もあります。
バスの出発前にはバスの動作に問題がないか点検をしています。
「バス整備士がしているのかな?」と勝手に思っていましたが、実際は運転手が出発前に決まった項目について点検を行っているのです。
目的地に着いた後は会社への報告を行います。
こちらは一般企業と変わりありませんが、一つの仕事が終わるたびに上長へ報告をあげています。
基本的に「いつ・どのバス・どのコース」を運転するかは決まっているのですが、運転手が急病になったなどの理由で突発的な出勤もあるようです。
こちらについては断ってもOKなようですが、休出扱いになり給料が多くなるので運転手Yさんはあまり断らないようです。
勤務時間
シフト制で2週間前には休日の希望を出しています。
高速バスでは長距離運転になるので拘束時間が長くなります。
6:00〜20:00の勤務になることも珍しくありません。
目的地が地方になることも多く片道の運転が終わると現地に一泊し、翌日の復路で帰ってくるという勤務体系も頻繁にあります。
一般企業の出張が頻繁にあるようなイメージです。
残業時間
残業は1時間以内のものであれば、ほぼ毎日のようにあります。
バスが遅れたり、運転記録の報告をしていると残業が発生します。
道路の込み具合でバスの到着が前後するのは当たり前なところもあるので残業になるのは仕方がないような気はしますね。
「逆に早くなることはないのか」と聞いてみたところ「バスが予定時刻より早く出発することはないから早帰りはない」と回答がありました。
確かに時刻表よりバスが早く出発するなんてありませんよね。
バス運転手の仕事上、残業はあるけど早く終わることはないようです。
給料(月収・年収)
基本は月収20〜25万円程で、 バス運転手も例にもれず残業によって給料は多少前後します。
ボーナスはありですが会社の利益だけでなく勤務実績によってはカットされるという社則になっています。
バスの出発が1台でも遅れると後続のスケジュールまで確実に影響が出てしまうのでバス運転手に遅刻は厳禁です。
バスの出発を遅らせてしまうとボーナスカットは確実となります。
運転手Yさんも一度寝坊したことがあるのですが、その時は出発前の点検には間に合いませんでしたがバスの出発時間には間に合ったのでボーナスカットを免れたと言っていました。
その時の点検は別の運転手の方がしておいてくれました。
特記事項
どんな職業でもそうですが、バス運転手は特に体が資本です。
ハードなシフト体制ですが早朝でも深夜でも安全に運転できるように体調を整えておかなければなりません。
個人的に「バス会社には大手しかないの?」という疑問があったのですが、中小企業のバス会社も多数存在しています。
意外ですがどうやら「貸切バス4台を用意できれば」中小企業としては成り立つようです。
何となく4台だけでは利益でなさそうなんですけどね。
大手企業だけでなく中小企業でもバス運転手の募集があるので、バス運転手への転職を考えている方は大手だけでなく条件のいい中小企業も選択肢としてありかもしれません。
高速バス運転手になってみて
良い点
当初の目的通り「乗り物が好きやからバス運転できて良かった」というのが一番良かった点です。
やはりバス運転手あるあると言いますか、車好きというのが第一にあるようですね。
長時間の運転が当たり前なので好きじゃないとやってられない訳ですね。
バスの種類も豊富でスイッチの位置が違ったり、ギアが6速のもの、7速のもの、エンジンでも5種類程度あったりと運転するバスが変わることも楽しみの一つです。
一般の運転手である私からすると日頃慣れていない車を運転するのはちょっと怖いと思うのですが、乗り物好きである運転手Yさんにとっては種類が多い方が良いようですね。
あとバス運転手あるあるみたいですが、サービスエリアだと割安で食べれるみたいです。
社割的な運転手割引ですね。
悪い点
勤務はシフト制だという話をしてもらいましたが、やはり勤務時間が日によってバラバラなのは体力的にもキツイですね。
目的地が毎度異なるので、片道3時間を往復したり、片道5時間で1泊したりと運転時間も日によって変わります。
また、人の命を預かってる割には給料が安いというのは不満だと言っていました。
転職したいか
全く考えていません。
理由は単純明快「バス運転手としての仕事が気に入っているから」です。
仮に転職をするとしたら乗り物の運転とは関係のない職業にするつもりだと言っていました。
就職を他者に勧めるか
給料は安いけど乗り物が好きなのであればお薦めします。
究極ここですよね!
バス運転手をする以上、
『バスが大好き』あるいは『乗り物が大好き』
というのは大前提になります。
なので、バス運転手になるかどうか検討されている場合は、まずご自身がバス・乗り物をどのぐらい好きなのかというのを再検討してみるといいのかもしれません。
まとめ
運転手Yさんはニュースで放送されているほどの激務ではありませんでしたが、一般企業勤の勤務と比べると厳しめのシフト勤務ではあると思います。
早朝から深夜までシフトの幅が広いことや日常的に一泊しなければならないというのは体力面・精神面ともに削られるでしょう。
半端ではない距離と時間を運転に費やすことになりますので運転手を目指す方は「3度の飯より運転好き」というような人でなければ辛くなってしまいそうです。